昨日の記事に続いて、BS1放送番組「アジアンスマイル」に登場したインドネシアのチェス少年ファリ・フィルマンシャ君(以下、ファリ)をとりあげます。

父親が営む屋台のタバコ屋を手伝う一方、屋台の一角で客との対局を重ねながら日々チェスの腕を磨いてきたファリ。
やがて、屋台のそばにあるチェスの専門学校「ウトゥト・アディアント チェス学校」に特待生として迎え入れられ、入学以来数々のチェス大会で優勝してきたファリですが、今15歳という年齢で新たな課題に直面しています。
15歳とは、チェスの世界においてジュニアから成年の部へと変わる境目の年齢です。これまでは屋台で学んだ型破りの戦法で勝ち続けてきたファリですが、これから大人を相手にもっと強くなるためには足りないものがあると感じているのです。
ファリは自分の弱点を「我慢できないこと。早く勝ちたくてどんどん攻めてしまう。それで負けてしまうことがある。」と評しています。
ある日、ファリは腕試しのためにチェス学校の校長宅を訪れます。その校長はその名が学校名になっているウトゥト・アディアント氏、ファリが憧れるチェスプレーヤーです。
《 ↑ ウトゥト・アディアント氏》
ウトゥト・アディアント氏は1997年に当時の世界チャンピオンであったロシアのアナトリー・カルポフと対戦し、激闘の末引き分けた実績を持つグランドマスター(Grandmaster:国際チェス連盟が定めたチェス最高の称号)です。インドネシア最強のプレーヤーです。
【放送では、そのアナトリー・カルポフとの対局(Blitz:早指し対局)の模様も登場しました。上右部の画像とは関係ありません。】
ちなみに上右部の画像は、2001年に同氏が別の元世界チャンピオンで先述のアナトリー・カルポフよりもビッグネームなガルリ・カスパロフ(ロシア)と対局した時の模様です。
番組ではその校長とファリの対局の模様も放送されましたが、結果は引き分け。対局後、校長でありグランドマスターでもあるウトゥト・アディアント氏がファリの指し手について感想を述べます。良い点は、戦術にたけていること、コンビネーションもいいしよく計算されていること。一方で弱点は、全体の流れを把握しきれていないことで、そこを強化していかなければならないということでした。
そして最後にファリは校長からシンプルかつ心に響く言葉を贈られます。
「先ずはチェスを愛すること。本当にチェスを愛していれば、後でついてくるものがある。だからチェスへの情熱を絶やしてはいけない。」
ファリは帰宅後、チェス盤に向かいます。ファリは校長の言葉を聞いて自分自身が恥ずかしくなると同時に、自分にはそれが足りかなったと気付かされました。
ファリが一日6時間以上チェスの練習を積む日々は続きます。グランドマスターを目指し今日もファリは屋台で客を相手にチェスを指しています。
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チェスと人生が太い糸で結ばれている様を描きながら、一方でインドネシアの人々が思い思いにチェスを楽しむ姿がありと、私には見応え満載でした。録画は保存版間違いなしです。
この日本でチェスの位置づけがインドネシアのようになる日は来るのか?あるいは、そうなるにしてもあと何年かかるのか?これらの疑問については、今の日本におけるチェス普及の状況からして予想すら難しいと言わざるを得ません。しかし、今年になって日本語による本格的なチェスの技術本が出始めてきていることを思えば、決して遠い未来のことではないかもしれません・・・


