論文翻訳のチェックポイント(医学編): 2008年8月アーカイブ

ここでは、(1)に続き、各項目の表記の仕方についてご説明します。

雑誌名

  • 略語を用いる
  • イタリック体
  • 頭文字に大文字
ページ番号と発行年度

  • 該当ページ番号のアラビア数字を省略しない
  • スペースを取らずに記載する
      例) 著者, タイトル. 雑誌名. 1996;150:245-267.
上記のように、発行年度、その後に続くセミコロン(;)、関数、その後に続くコロン(:)、最初のページ番号、ハイフン、最後のページ番号、ピリオドはスペースを取りません。

ページ番号の不連続

ページ番号が連続していない場合で同じ号の場合は、2004:C1,C10というふに記載します。

巻数のない雑誌

例1) 著者, タイトル. 雑誌名. July 2008:245-267. 
例2) 著者, タイトル. 雑誌名. 1996;No.190:5
例3) 著者, タイトル. 雑誌名. 1996;19:100-108.

1号が2冊以上の分冊になっている場合

例) 著者, タイトル. 雑誌名. 1996;79(pt 2):245-267.

特別号、特集号、増刊号の場合

例1 特別号) 著者, タイトル. 雑誌名. 1996;100(special issue):245. Abstract 224.
例2 特集号) 著者, タイトル. 雑誌名. 1996;79(theme issue):245-267.
例3 増刊号) 著者, タイトル. 雑誌名. 1996;79(suppl 2):1-80. Theme issue.








 











雑誌の参考文献に必要な記載事項は以下のとおりです。

  1. 著者の姓とイニシャル (Matsuura T)
  2. 論文のタイトル(サブタイトル*がある場合はそれも含める)
  3. 雑誌の略称
  4. 発行年度
  5. 巻数
  6. 分冊あるいは補遺号数、そして一つの巻を通してページ付けが一貫した連続番号となっていない場合は発行月あるいは号数
  7. 当該ページ数
サブタイトルがある場合は、雑誌の論文の場合は小文字で始めます。その他、綴り、略語、数字、大文字、イタリック体などは、タイトルのスタイルに合わせるようにします。

例⇒ Matsuura T, Clinton H, (著者名), for the XXX Working Group (グループ名). タイトル名(大文字で始まる): サブタイトル名(小文字で始まる). 雑誌略称. 発行年度;巻数:当該ページ数

タイトルとサブタイトルは、コロン(:)で区別します。サブタイトルに番号がついている場合は、タイトルの後ろにコンマ(,)をつけ、その後すぐにローマ数字(IVなど)、そしてコロン(:)と続けます。
例⇒ 大文字から始まるタイトル, IV: 小文字から始まるサブタイトル





参考文献については、英語以外の言語でも、タイトルは翻訳せずにそのまま記述することがほとんどです。日本語の参考文献については、ローマ字読みでそのまま英語にします。

フランス語から英語に翻訳された文献の場合カッコ内に言語名を入れてタイトルの後ろにつける
例 ⇒ 著者名, 英語の翻訳タイトル [in French]. 雑誌名称. 1998;24:1167-79

日本語と英語両方に翻訳されたものがある場合、日本語の言語のタイトルの後にカッコ内に英語の翻訳タイトルを記載する
例 ⇒ 著者名, 日本語の文献タイトルをローマ字にしたもの[英語に翻訳したタイトル].雑誌名称. 1998;24:1167-79

論文投稿の場合は、ガイドラインに沿って記載すれば問題ありませんが、それ以外で論文などを翻訳する場合(研究機関のホームページなどで公表する場合)は、著者の意向を前もって聞いておく必要があります。著者によって、日本語の文献をローマ字にするだけでよいとする人とローマ字の後にカッコの中で英語に翻訳したものを記載したいという人がいるので、事前に確認しておく必要があります。

翻訳を依頼された側が、参考文献を実際に照合するのは不可能なので、依頼されたときの原文に沿って作業します。

日本人の研究者は、英語の参考文献を多く利用することが多いと思いますが、中には、フランス語だったりドイツ語の文献を見なければならないときがあるでしょう。しかし、雑誌によっては、このような背景から、フランス語から英語に翻訳されたものを参考にした場合でも参考文献として認められる場合があります。




参考文献を記載する際、タイトルについては、原文通りの綴りを用いることはもちろんですが、省略形、数字なども形式をそのまま記載しなければなりません。但し、タイトルの始まりが数字の場合は、文字にするのが原則とされています。

<英語で書かれた参考文献で大文字にするところしないところ>

論文や書籍の分冊
以下についてはすべて大文字を用いる

  • 最初の単語
  • 固有名詞の最初の文字
  • 通常大文字が用いられる省略形(例:DNAなど)
雑誌、書籍、政府刊行物、文書、パンフレット

  • タイトルとサブタイトルの主要な単語の最初の文字は大文字にする
  • 冠詞2文字以下の前置詞、接続詞(and, or, for, nor, but)、不定詞(to)は大文字にしない
  • Isなどの2文字の動詞は大文字にする
微生物の名称

  • 微生物のタイトルについては、学名はすべて大文字にし、イタリック体にする




研究論文については、複数の著者がいることが多いため、その書き方にも一定の制限があります。
各雑誌(ジャーナル)のガイドラインによって多少異なりますが、だいたいにおいて以下の書き方が多いといえます。

参考文献リストの著者名

  • 著者が一人の場合:Matsuura T. (姓+イニシャル)
  • 著者が二人の場合:Matsuura T, Yamada K. (and ではつなげない)
  • 雑誌のガイドラインが指定した著者数を超える場合:Matsuura T, Yamada K, XXX X, YYY Y, et al.(その他の意味の"et al"を使う)
  • 一定の著者数を超える場合と1グループの場合:Matsuura T, Yamada K,et al, and the XXX Study Group.
  • 1つのグループの代表として一定の著者数を超える場合:Matsuura T, Yamada K,et al, for the XXX Study Group.
本文中の著者名の書き方

  • 著者の姓のみを記載: Matsuura
  • 2人の著者: Matsuura, Yamada.
  • 3人以上の著者: Matsuura, Yamada, Suzuki, et al. (et alのほか、and associates, and coworkers, and colleaguesでもよい)
日本人の場合は、ミドルネームなどがないので、あまり複雑ではありませんが、欧米諸国では、ミドルネームのほか、Jr. やvon, de, La, vanなどの接頭辞や接尾辞を含む姓などがあるので、注意する必要があります。

翻訳の上で日本人の名前を英語にする場合は、やややっかいな部分もあります。同じような姓でも、呼び方がちがったりするので、きちんと正確な呼び名を調べる必要があり、これが以外に手間がかかるところでもあります。








<検索可能参考文献をリストにする>

  • 出版された(受理された)研究論文(印刷物を含む-電子雑誌・雑誌・新聞)
  • 出版された(受理された)書籍
  • 専門家会議で発表された論文
  • 抄録
  • 学位論文
  • CD-ROM・フィルム、ビデオテープ
  • 添付文書・製造メーカーの文書
  • 公式レポート
  • データベース
  • 訴訟事件
  • 特許
<参考文献の記載方法>
  • 番号付けをする:アラビア数字
  • 一つ一つ記載する:本文で引用された順に記載する
上記の記載方法も当たり前のことですが、この他にも受理されていない論文は記載しないことはもちろんのこと、私信のもの、例えば口頭や電子メールなどは基本的に参考文献とはみなされません。

雑誌の場合  著者名、論文タイトル、雑誌名、発行年度; 巻数: 該当ページ番号

書籍の場合  著者名、書籍タイトル、発行所: 発行社、発行年度: 該当ページ番号

記載の順番、およびコロンやセミコロンも論文翻訳の最終チェックポイントです。









最初に述べたとおり、参考文献は著者の論文の正当性を裏付ける重要な役割を担っている重要な部分です。また、それを読者が検索したいと思ったときにも利用されるため、様式と統一要求事項を満たしていることが大切であることはいうまでもありません。

参考文献の記載の仕方
ピリオドで区切って以下の項目を順に記載します。
  1. 著者(複数の場合も記載)
  2. タイトル
  3. 版数
  4. 出版事項(出版社の所在地と名称、発行日、巻数、号数、掲載ページ番号)
  5. 外形記述(大きなあるいは体裁)
  6. シリーズ出版物であるかどうか
  7. 補足説明(更に明確に理解するために必要な参考文献の資料)
  • 補足説明のピリオドは、各文献の目録群を別個認識できるようにする
  • 文献目録の構成要素は以下の句読符で分けられる
  1. セミコロン:要素が異なる場合、一つの群の中で理論的に関連した要素が複数発生した場合、巻数の前など
  2. コンマ:項目が文献目録の補足要素あるいは一連の関連深い要素である場合
  3. コロン:発行所名の前、タイトルとサブタイトルの間、接続語句(例-In, Taken from, Located at, Accompanied by, Available fromなど)の後ろによって分けられる
セミコロン、コンマ、コロンの使い方など、翻訳作業の上でも間違いのないよう細かなチェックが必要です。

参考文献は論文の重要な要素となります。リスト化するだけでも大変な作業ですが、それを翻訳作業でも簡単なようで手間がかかる部分でもあります。

例えば、日本語から英語にする場合でも、日本語文献に翻訳本がない場合、タイトルの表示をどうするかという問題があります。

翻訳を含め参考文献を中心に大切なポイントをご紹介します。

参考文献の役割
  • 自身の論文の論拠となる証拠書類となる
  • 自身の主張の基礎を築く文献となる
  • その著者に対する感謝の意を述べる場
参考文献リストに関わる責任者
  • 著者: すべての文献に対する第一責任者
  • 編集者/ピア・レビュアー: 証拠書類の提出(文書化)、参考文献の安全性、正確さ、妥当性について検討
  • 原稿整理編集者/校正者: 参考文献が完成されているかどうかを評価
参考文献を作成する上での注意点
第一著名の名前の間違い
雑誌名の間違い
発行年度、巻数、ページ数の間違い

ちょっとした間違いのために、引用された文書に関心を持った読者が検索できない事態を招くので、注意が必要です。翻訳する上では、原文の間違いがあった場合はともかく、翻訳作業の上では、手打ちを避け、なるべく原文からコピー&ペーストで翻訳文書に反映すると間違いが少なくなります。

また、翻訳とは直接関係がありませんが、不適切な引用、例えばある一部の男性とある病気に因果関係があるのにもかかわらず、成人男性すべてにおいて因果関係があるようなデータを引用した場合、正確性がなくなるため引用してはならないとされています。ある意味で、これは常識的なことですが、他にも論文の著者がその文献を読んでいないという問題が発生する場合もあるので、きちんとしたリスト化が求められます。








論文の謝辞には、原稿に関連するデータがどのような方法で入手可能かを記載する必要があります。
いつくか例をあげてみましょう。

(1) NAPS(National Auxiliary Publications Service - 国営出版物付属資料保管・供給サービス)
原稿の中では、公表されていないけれどもNAPSを通じて入手可能な場合は、以下のような文章を使います。

See NAPS document (ドキュメント番号) for XX pages of supplementary material. Order from NAPS, c/o 出版会社名, 住所. Remit inadvance, in the US funds only, $XXX for photocopies and $X for microfiche. There is a $XX invoicing charge on all orders filled before payment. Outside the United States and Canada, add postage of $XX for the first xx pages and $X for each XX pages of material thereafter, or $XX for the first microfich and $xx for each subsequent microfiche.

まず、資料何ページ相当分についてNAPSドキュメントの何番を見ればよいかを示します。どこの出版会社からの入手が可能か住所等を示します。また、コピーやマイクロフィッシュ等にかかる費用を記載し、外国から入手を希望される場合の手数料なども記載します。

(2) 著者から、あるいは他の情報源から入手できる場合

  • 著者から直接入手できる場合の英文
A complete list of documents surveyed is available on request from the author.

  • その他から情報が入手できる場合の英文の表現
The original data set is available from 機関名.

(3) 電子メディアで入手する場合

  • インターネット経由で入手する場合の英語の表現
These documents are also available via the Internet (http://www.XXXX/YYY).

  • 外国にある機関に問い合わせる場合
Additional studies are also available from 機関名, 所在地(e-mail: xxx@yyyy.co.jp).

上記はあくまでも例文ですので、実際の翻訳には、文献がどのように入手できるか組み合わせを変えれば簡単に文章を作ることができます。



資金援助のほか様々な援助があります。例えば、下記のような援助を受けた場合でも、謝辞として記載することがあります。但し、翻訳と直接関係はありませんが、特定の個人の名前を挙げるときは、その人の承諾書を入手することが必要です。また、その人の最高学位も記載します。

  • 統計の評価
  • 報告書の作成
  • 特殊なテスト
  • 研究の実施
  • 編集
  • 執筆上の援助
  • 事務的な援助
英文例)
  • XXX(名前), MD(学位), performed the biopsy, contributed the orbital computed tomographic scan, and provided the exenteration specimen; YYY, MD, confirmed our histopathologic diagnosis.
  • We thank XXX(名前), PhD(学位), and YYY, MA, for statistical support.
  • The ZZZ Study Group is grateful for the contributions of the many referring ophthanlmologists, without whom this study could not have been carried out, and to the study patients, whose  faithfulness to the study led to conclusions that promise hope for others with branch vein occlusion.
雑誌(ジャーナル)によっては、実質的な執筆編集の援助はすべて公開するように要求するものもあります。この場合は、名前と最高学位のほか、所属機関名と所在地も記載します。これは、援助した人々にも責任を持つことを認識してもらうためです。上記で述べたように、この場合も、本人からの承諾書を著者が取得しなければなりません。

英語例)
  • XXX(名前), MD(学位), YYY(所属機関名), Chicago, Ill(所在地),contributed to the writing of this article; and YYY(名前), PhD(学位), ZZZ(所属機関名), (所在地), helped edit the initial manuscript.
謝辞の中で告知をする場合もあります。

  • This article has been reviewed by the XXX Committee of the YYY Study of Depression and has its endorsement.
翻訳においては、日本語から英語、英語から日本語の場合、いずれも援助者の呼び名、学歴、所属機関などかならず正式名をきちんとチェックすることが必要です。










このアーカイブについて

このページには、2008年8月以降に書かれたブログ記事のうち論文翻訳のチェックポイント(医学編)カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは論文翻訳のチェックポイント(医学編): 2008年7月です。

次のアーカイブは論文翻訳のチェックポイント(医学編): 2008年9月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。