英文契約書の構成と一般共通条項 -約因-

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 本ブログの「契約書翻訳の要点」コーナーの記事更新がご無沙汰しておりました。


前回の記事「英文契約書の構成と一般共通条項 -前文2-」の最後部にあった『約因(consideration)』について触れます。


約因とは、英米の契約法上の概念です。

契約の一方の当事者が行うことに対して、ギブ・アンド・テイクの関係で他方の当事者が行うことを意味します。米国の州の司法試験には、普通 "Consideration is that which is bargained for and given in exchange for a return promise." (約因とは、交渉の結果、相手からの約束と引き替えに与えるもの)とすればよいとされています。

わかりやすく言えば、売買契約において、売主が品物を引き渡すことと、買主が代金を支払うことが約因の関係にあるということです。ちなみに、自分が利益を得るだけで損はしない場合は、約因がないということになり、契約ではなく単なる贈与とされます。


おおまかに言えば、英米の契約法の理論では、約因がない契約は無効とされます。それを前提にすれば、建前上はすべての英文契約書について、約因があるかどうかを確認する必要があることになります。しかし、現実問題としては、それほど神経質になる必要はないようです。その理由として、独立した第三者の間で結ばれる契約において、ギブ・アンド・テイクがないものなど考えにくいことがあります。

約因の有無が問題になるのは、例えば親会社が子会社に資産を贈与するとか、親会社が子会社の銀行借り入れについて保証料をとらずに保証するなどの無償の取引の場合です。


つまり、(誤解を恐れずに言えば)通常の契約であれば、"consideration" の部分は決まり文句であると捉えておいて問題ないと思われます。


最後に、過去実際に英文契約書の翻訳案件で見られた表現を一例として紹介します。これも典型的な一文でしょう。

NOW, THEREFORE, in consideration of the foregoing, the parties hereto agree as follows:
(したがって、上記を約因として、両当事者は以下のとおり合意する。)
 

この表現も英文契約書に慣れていない人からすれば、いまいちとらえどころのない文面に映るでしょうが、いくつかの英文契約書に目を通してみれば、似たような表現が存在することに気付かれることでしょう。


 

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このページは、Ted Matsuuraが2008年11月14日 16:38に書いたブログ記事です。

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