契約書の権利義務における認識の落差

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英文契約を和文に訳す際によく思うのは、絶対的な義務を表す日本語の表現が少ないということです。
例えば

"PPP shall pay to SSS the yearly minimum guaranteed amount of royalty by the end of each contract yearly period."

日本語に訳すと、「PPPは各契約年度末までに年間最低保証ロイヤルティ額をSSSに支払うものとする。」になります。


この日本的な「~するものとする」式表現と西欧式義務観念とには幾分落差があります。

日本語では「~しなければならない」など、西欧的な絶対的義務(absolute duty to perform) を示す表現はあまり見られず、義務なのか権利なのか区別のつきにくい「~するものとする」式の言い回しが契約書で多く見られます。掘り下げて考えてみると、この日本語の表現には問題の種が潜んでいるように思われます。

つまり、契約当事者の心中に「多少契約の条項通りに履行しなくとも、話し合いで何とかなるのではないか」と考えさせる雰囲気があるということです。契約義務に対するこのような考え方は、いずれ矯正と補償を伴う重大な契約違反(material breach) を引き起こしかねませんので注意が必要です。

9月17日の記事で紹介した"shall have the right to ~" も、「~する権利を持たなければならない」とはせずに「~する権利を有するものとする」という表現を使うのが一般的です。

 

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このページは、Ted Matsuuraが2008年9月19日 20:49に書いたブログ記事です。

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