コピペと文章作成とプロフェッショナル

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9月1日のNHKの「クローズアップ現代」で、インターネットからコピー&ペースト(通称コピペ)をして論文作成などをする問題についての報道がありました。学生の論文ばかりでなく、行政機関などでもインターネットで公開されている情報をコピペして資料を作成しているというケースも多々あるとのことでした。

 

驚いたのは、読書感想文の内容がコピペできるサイトがあるということです。そのサイト管理者曰く「子どもたちに有意義な時間を過ごしてもらうため」とのコメントに違和感を覚えました。

 

私たちのように翻訳や通訳といった仕事をしていますと、ひとつひとつの言語にたいして非常に敏感になります。数ある仕事をこなしていく間に、専門的な分野であろうとなからろうと、その文章が完成度の高いものかどうかということがわかるようになってきます。これは作家、エッセイスト、あるいは論文をよく書くような言語のプロフェッショナルにも共通することです。

 

翻訳でいうなら、母国語以外の言語から母国語に置き換えるときも、いったん自分の頭の中に言語を取り込み、それからどのような文章が理想なのかを考え、編集されたものが翻訳の言語となります。ですから、それを訓練した人ほど引き出しが多いので、より完成度の高い文章(私たちはこれを「読んでいて気持ちのよい文章」といっています)となって現れます。

 

現在は、いちいち辞書を引かなくてもインターネットで単語を調べることができますし、翻訳ができるソフトウエアなども存在します。私たちも、こういったものを利用することがありますが、翻訳においては、インターネットででてきた訳をそのまま使うことはしません。あるいは、「できない」といったほうが正確かもしれません。そのまま使うと、全体の文章を読んだとき、違和感のあるもにに仕上がってしまい、完成度の低い文章となってしまいます。ですから、単語をつなげただけの訳は読んですぐにわかります。気持ちのよい文章は、いったん人間の頭で考え編集されなければ生まれてはこないのです。

 

最近、インターネットなどでサイト運営者や会社経営者が書いたマニュアルやXX攻略法などを販売しているところがあります。ほとんどの場合、文章がひどく、最もひどいのは、校正がまったくされていないため、誤字脱字があるものを平気で販売している人が少なくありません。これは、書籍ではまずあり得ないことです。確かに、何かを攻略するためにその目的を達成できれば事がすむと考えるのかもしれませんが、このような文章を読んでしまうと「本当にこの人は信用できるのか」と思ってしまいますし、またその人の仕事内容にも疑問を感じてしまいます。無料ならまだしも、対価を支払って入手する人に失礼ではないでしょうか。

 

現在は、ブログや掲示板などでの書き込みも多いので、フレンドリーであることが重視され、また身元を隠せるニックネームでのやりとりのため、言語に対する注意はほとんどなされていません。その延長で、こういった人がマニュアルを書くので、違和感のある文章に仕上がります。最近目につくのは、「い」を抜く人たちです。例えば、「~しています。」というのを「~してます。」と書きます。これはブログや掲示板などでは問題ありませんが、フォーマルな文章には使うことはできません。それが、インターネット販売されているWordで作成されたマニュアル等で多く使われているのを目にします。

 

脳科学者の茂木健一郎氏も、脳は窮地に陥るほど働くと言っていました。それが脳の栄養になるとか。文章ひとつでも、自分の言葉で書くこと、また翻訳においては一つの言語にこだわって、悩んで悩んで訳すことが、最終的に気持ちの良い文章、そして良い翻訳につながります。そんなに時間はかけられないという場合もありますから、なかなか難しいところでもありますが、ぎりぎりまで生む苦しみの経験を積んだ人が、最終的に本物の翻訳者になるのではないでしょうか。 しょうか。

 

 

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このページは、Ted Matsuuraが2008年9月 2日 12:03に書いたブログ記事です。

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