契約当事者間の力関係を表す基本的な例として、次に挙げるのは販売に使用される資料の供与に関する契約文言です。
Advertising Material
ZZZ agrees to provide YYY, free of charge, with a reasonable quantity of German-written advertising material, including but not limited to catalogues, leaflets and posters, such quantity being subject to mutual agreement between the parties hereto. YYY shall bear all freight, insurance, taxes, duties, assessments, charges and other expenses incurred or levied upon said material after delivery thereof to the carrier at the port of shipment, wether in Japan or otherwise.
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《日本語への翻訳文》
宣伝資料
ZZZはYYYに無償で適量の独文の宣伝資料を供与することに同意する。同資料はカタログ・リーフレット・ポスターを含み、かつそれらに限定されることなく、それら数量は本契約両当事者間の合意に従うものとする。YYYは運賃・保険・諸税・関税・課税・負担金、その他の費用など船積港で運送業者に前記資料を引き渡した後に日本またはその他の地域で被りまたは賦課されたものすべてを負担しなければならない。
〈用語の説明〉
★"agrees to"
優位に立つサプライヤー(ZZZ)は、自己の義務に"shall" を使うことを嫌っていることがこの内容からもわかります。
("shall" については、9月12日の記事で説明しました)
★"reasonable"
「与えられた状況で普通に考えられる」程度を意味します。
誰が"reasonable" と考えるか?という問題がありますが、後に続く文中に「両者の合意による数量」という概念が定められているので、それが基準となります。
★"including but not limited to ・・・"
これは英文契約書に必ずと言っていいほど登場する、誤解を防ぐための常用表現です。"include" は「含む」の意味ですが、この表現の前に置かれる名詞について「・・・以外にも該当するものがある可能性」を示します。まさに契約書的表現の典型です。
★"subject to"
「~を条件として」の意味です。
★"thereof"
前に出てきた語句(本文の場合は"said material")の繰り返しを避ける「~の」の意味です。
上記以外にも
◆"XX is entitled to ~" (当然~する権利を有する)
◆"XX shall have the right to" (~する権利を有するものとする)
などの表現を使って一方の当事者の優位を示すことが行われています。
後者の"shall have the right to ~" は、その強い(断定的な)語感からして、可能を示す"may ~" よりも好まれる傾向にあります。