論文のタイトルとサブタイトル

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発表しようとする雑誌(以下ジャーナル)の要求事項は、対象のジャーナルが投稿規程を発表しているので、そのガイドを元に著者が原稿を作成することになります。

論文を扱う翻訳会社の中には、この投稿規定に沿った翻訳構成を行うというところもありますが、実際には多数あるジャーナルの投稿規程を網羅するのは並大抵のことではありません。また、研究論文を得意とする翻訳者は、その翻訳ができるそれなりのバックグランドや経験を持ち、技術も高いですから、単価が通常の翻訳よりもある程度高くなります。ですから、更に投稿規程に合わせた校正を行うとなると専門家も必要になりますから、価格はどうしても高くなります。もしこれを安く請け負うというところがあれば、信頼性に疑問があります。

しかし、研究者自身それを翻訳会社に丸投げするとは思えません。特に、オリジナルデータの報告書の場合は、最新の研究成果報告であり、その内容に著者は責任とプライドを持っているからです。ですから、翻訳会社としては、研究報告内容を忠実に翻訳し、ポイントポイントに注視し、プロジェクトを影で支えることに徹するべきだと考えます。

翻訳のチェックポイントとして、まずタイトルとサブタイトルから始めましょう。基本的には、投稿するジャーナルの規程に沿うことが前提ですが、ここでは一般的なチェックポイントをご紹介します。

1.タイトルとサブタイトル

以下、タイトルとサブタイトルのチェックポイントとして、好ましいものを「○」とし、好ましくない場合を「×」としてリスト化しています。

<タイトル>

 ○ 簡潔かつ明確
 × 情報量が多い
 ○ 論文のキーポイントを含む
 × 一般的すぎるタイトル

<サブタイトル>

 ○ 読者がインターネットなどで検索した場合タイトルを補完するような内容
 × 記述を多くする
 × 一般的なタイトルをつけてしまった場合、それを補足するために研究のキーワードを入れる

 <語句の使用>

 日本語で「~の役割」、「~の効果」、「~の治療」、「~の症例報告」というような語句を使用した場合、英語に置き換えると、「The Role of ....」、「The Effects of ...」、「The Treatment of....」、「Report of a Case of...」という翻訳になります。

しかし、英語の場合は、タイトルやサブタイトルからこの部分を省いて表現されることも良いとされています。仮に使用する場合でも、タイトルではなくサブタイトルのほうが印象がよいようです。

英語のタイトルはあくまでも独立した形、すなわちそれだけでも有効になるようなつけかたが良いとされ、タイトルの続きとしてサブタイトルをつけるのは好ましくないとされています。

このあたり、日本語と英語の違いが感じられます。

<断定的な表現は良いのか?> 

例えば、ニュース、新聞記事、個人的意見などのタイトルとして使われるような断定的な表現が良いのかというと、これもジャーナルによって異なるので難しいところです。しかし、科学論文では、断定しすぎると結論を誇張しすぎると評価されてしまうことが多いようです。

<疑問文の形は有効か?> 

サブタイトルなどで、疑問文(?)をつけた形は有効かという問題は、論文の種類にもよります。原著研究論文よりも、論説、注釈、様々な意見を扱う論文などに適しています。

<引用符の種類> 

タイトルやサブタイトルに引用符「' や "」 を使う場合は、一重引用符「'」ではなく二重引用符「"」を用います。

例) 「About All "Do No Harm": How Shall We Avoid Errors in Medicine?」というようになります。

<数字を使う場合>

文の始まり、すなわち、タイトル、サブタイトル、見出しなどで数字を使う場合は、測定単位はすべて略さずに文字で表すことが原則とされています。

例) (タイトル)Primary and Secondary Prevention Services in Clinical Practice:(サブタイトル)Twenty Years' Experience ..... 

<薬剤名>

薬剤名がタイトルやサブタイトルに出てくる場合は以下に注意します。

・承認されている一般名称あるいは非特許名を用いる
・必要でなければ非塩基部分は省略する
・特許名を避ける

この部分は、翻訳会社ではチェックできる内容ではないので、原文にあるものを翻訳することになります。

<属および種の表記>

 タイトルやサブタイトルにある属や種については、イタリック系にし、属名の最初の文字は大文字種名は小文字から始めます。これは、本文の中でも同様です。英語から日本語に翻訳する場合、正式な日本語の学術名がない場合は、そのまま使用します。

 <略語>

基本的にタイトルやサブタイトルで略語を使用するのは好ましくないとされています。

<大文字にする場合>

例外もありますが、タイトルおよびサブタイトルの中では、主要な単語の最初の文字は大文字です。しかし、冠詞、3文字以下の前置詞、等位接続詞(and, or, for, nor, but)、および不定詞のtoは小文字のまま使用します。動詞はすべて大文字です。細かいところでは、ハイフンでつないだ複合語がありますが、これについては、いろいろな約束事がありますので後述することにします。

<都市、州、国の名称>

 その地域や国のみで他の地域では適用できないような内容の研究報告の場合は、タイトルに都市や国の名前を入れることが原則となっています。

 

投稿しようとするジャーナルについては、著者自身が掲載されている論文等に目を通しているはずなので、翻訳する側で指摘することはあまりありませんが、これらのポイントを知っているのと知らないのとでは、翻訳の品質が変わってきます。


 

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このページは、Ted Matsuuraが2008年7月 9日 12:20に書いたブログ記事です。

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