論文の種類

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翻訳の場合、基本的には著者が作成した原文に基づいて翻訳を行いますので、ジャーナル(雑誌:以下ジャーナルという)に合わせた校正や編集作業を行うことは含まれていません。これは、ジャーナルによって構成が違いますし、すべてのジャーナルの投稿の仕方を把握することはかなり難しいという事情があります。

仮に翻訳会社で行うとしても、料金的にもかさみまた時間も倍かかるということがあります。しかし、そこまでの作業が求められないとしても、出来上がった翻訳を原文と照らし合わせる第三者チェックが以外と重要で、これが品質に影響することも少なくありません。

論文に限らずすべての翻訳においては、ボリュームがあるものほど著者が見落とすところ、翻訳者が見落とすところがどうしても出てきます。これらをサポートするのも翻訳会社の仕事のひとつです。


<論文の種類>

論文といっても様々な種類があります。どのような論文形態なのかということを知ることもチェックする上で大切です。ここでは、医学分野を例にご紹介します。

(1)オリジナルデータの報告書
医学関係や科学分野ではオリジナル研究についての論文が中心となっています。オリジナルデータを報告書にまとめたものが論文となりますが、ジャーナルについては主に「原著論文」、「原著寄稿論文」、そして「原著レポート」の3つのカテゴリーに分けられます。

細かく分けると更に以下のようになります。

Brief Report(短報):短い論文で、一般的なジャーナルですと3ページぐらいのもの

Research Reports(研究報告)/Clinical Investigations(臨床研究):医学分野でいうと、生理学あるいは病理学の基礎的問題を扱った研究報告

Preliminary Communications(予備報告):予備研究での知見を報告する論文

研究報告の論文では、伝統的には以下の形式が基本とされています。

Introduction:緒言/Methods:方法/Results:結果/Discussion:考察

頭字語でIMRADといいます。Abstract(抄録)があるものはAIMRADといいます。

現在の論文のほとんどは、AIMRADの形式が多く、研究の概要を適切にかつ端的に報告するためジャーナルでもかならずアブストラクトが要求されます。インパクトのある内容をアピールするには(最後まで読んでもらうためにも)、タイトル同様に重視される部分です。

(2)総説論文
オリジナルデータの報告書とは対照的な論文で、医学分野のある特定の論題について役立つ情報を照合して要約したものをいいます。一般的に、Review(レビュー)ともいわれます。この種の論文は、臨床医が臨床上の判断を下すためによく利用される重要なものです。

総説は系統だって構成されるので、必要とする情報やデータから臨床における方法や結論を素早く把握することができます。総説の中には、いくつか独立した研究から定量的な結果を統合して、統計学的にまとめてあるものもあります。著者の意見やアドバイスが論じられているのではなく、臨床データの論文という特徴を有しています。

(3)叙述論文
患者についての症例報告、臨床観察、特別報告として発表される論文ですので、オリジナルデータ報告ほどの厳格さはなく、標準的な形式もありません。科学的価値が低いとみなさるため、研究に役立つような独創的な報告があるときのみジャーナルなどに発表されるようです。

(4)診療のガイドラインと合意文書
政府や民間団体による、さまざまな病気の診断や予防の勧告を詳しく説明するためのものです。専門家によって評価されたものを文書化します。これらの勧告は、合意文書、臨床診断ガイドライン、あるいは診療パラメーターとして発表されることもあります。この文書には、かならずスポンサーと参加した専門家の名前が明らかにされ、どのようにしてその結論に至ったかなどが記述されます。

(5)意見論文
編集者の考えやジャーナルの方針を表現した短いエッセーです。これらは、論説スタッフ、編集者、執筆依頼によって書かれ、論文についての背景や意見が提示されます。これは、雑誌や新聞等の一部のコーナーに評釈、投書欄、視点、争論などのタイトルで掲載されることが多いものです。

(6)投書・書評・記事
ジャーナルにおいては読者の論評や質問は重要なものです。これらの雑誌では、論評、質問、批評などを掲載し、発表された論文についての議論をする場を設けています。専門性の高い研究分野の雑誌では、専門家が読者であることが多く、研究の向上にもかかせないものとして扱われます。企業などが投資化向けにこのような記事を翻訳して掲載するといことも少なくありません。 

このように、論文一つとっても、様々な形式があり、内容によって翻訳の表現が変わります。オリジナルデータの報告書においては、厳格なルールがありますし、ガイドラインや合意文書は法律文書にも慣れていなければなりません。記事などであれば、感情的な表現やアピールするような表現を求められたりします。それぞれ経験と技術が必要です。

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このブログ記事について

このページは、Ted Matsuuraが2008年7月 8日 17:00に書いたブログ記事です。

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